このページのポイント

ポリカ100が必ずしもABSよりも丈夫であるとは限らない
同じポリカ100でも化学メーカーに依って強さには雲泥の差がある
一流メーカーのスーツケースなら一流の素材を採用しているので安心

ポリカーボネート100%のスーツケースについて

ハードタイプのスーツケースのボディを形成するのは、耐衝撃性に優れた樹脂素材です。一昔前まではABSが主流でしたが、現在はポリカーボネートが主流になってきています。

2000年に世界初のポリカーボネート素材のスーツケースをリモワが発表します。それまでは高価な金属製のジュラルミンのスーツケースを作ってきた高級ブランドリモワが、安価な樹脂素材のスーツケースを発売したということで注目を集めました。

ポリカーボネートは、ABSよりも更に耐衝撃性に優れた樹脂素材で、より薄く作っても強度を保てるため、非常にボディを薄く軽くすることが出来ます。

2005年頃から様々なメーカーがポリカーボネートのスーツケースを発表し、しばらくはABSの板とポリカーボネートの板を圧着した複合素材の製品が主流でした。

本格的にポリカーボネート100%のスーツケースが主流になったのは2010年頃からで、現在ではポリカ製が完全に主流になったことから、コスト構造的にABSを使った製品を見かけなくなりました。今では高級品も激安品も、ほとんどのスーツケースがポリカーボネート100%になっています。

ポリカ100はABSのキャリーバッグより優れているのか

ポリカーボネートが広がり始めたころ、各メーカーは安い商品にABSを、高級品にポリカーボネートを採用しました。ポリカのほうが耐衝撃性に優れる高価な素材であったため差別化でそのようにしていたのです。

実際にその頃、各メーカーがポリカ100は非常に頑丈でABSよりも優れているかのようにアピールしていたため、ABSやABS+ポリカの複合素材よりポリカ100の方が強いと思っている人が多いようです。

しかし、ポリカ100の場合は例外なく非常に薄く作られているため、かえって強度が弱い場合があります。ABS時代の半分程度のボディの肉厚になっているので、はるかに軽くはなりましたが強度的に良くなったようには感じられません。

大手メーカーのメイン価格帯の一番しっかりした製品で比べると、一昔前よりかえって壊れやすくなっていることは否めません。ポリカ100で薄く作られていると、バリっと亀裂が入って割れてしまうことが多くなっています。

ABS時代と比べて重さは2/3程度になり、10年間で凄まじい軽量化を達成しましたが、その分強度も少し損なっています。軽量化は嬉しいのですが、もう少し厚く作ってもらいたいというのが本音です。

今から考えるとABSとポリカの圧着素材の時代が一番強度があったように思えます。最も今はポリカ100しか選択肢がありませんので、なるべくボディの肉厚の厚いものを選びたいものです。

化学メーカーによって強度に雲泥の差が

耐衝撃性に優れた強化プラスティックであるポリカーボネートはドイツの大手化学メーカーであるバイエル社によって開発されました。

現在では、日米欧の化学メーカーに加えて中国の化学メーカーによっても製造されています。当然、各スーツケースメーカーが採用しているポリカも様々な化学メーカーで作られているわけです。

スーツケースについているタグの表記は、単純に原材料名「ポリカーボネート100%」と表記されていますが、その中身は全く異なるのです。同じポリカーボネートでも、作った化学メーカーにより雲泥の違いがあります。

安物のスーツケースを購入すると、ろくでもない中国メーカーのポリカーボネートが使われていたりして、ポリカ100でも驚くほど壊れやすかったりします。

以前レンタル用にノーブランドの激安品を仕入れ、新品をおろしてもおろしても1回で壊れて返ってくるというとんでもない事態に遭遇しました。ポリカ100の製品でしたが、ポリカの質が悪すぎて必要強度がなかったのです。

安物のスーツケースには、その値段にふさわしい安物の中国の化学メーカーのポリカが使われているということを忘れてはいけません。物の質は値段なりです。

一方、欧米や日本の鞄メーカーの一般的な価格帯以上のスーツケースは、日米欧の大手化学メーカーのポリカーボネートを採用していることがほとんどですので安心です。

世界中のメーカーで一番採用されているのは、やはりドイツのバイエル社のポリカーボネートであるマクロロンです。(バイエル社の素材科学事業部は2015年に分離独立しコベストロ社に移管されました)

世界最大手のサムソナイトを始め世界中のスーツケースメーカーの製品が採用しています。エース鞄を始めとした日本の鞄メーカーも採用しています。

その他、日本にも帝人化成や三菱エンジニアリングプラスチックスなど複数のPCメーカーがありますが、国内メーカーのポリカであれば品質にも心配はありません。日米欧の大手化学メーカーのポリカであれば、大きく質が違うことはありません。

ただ、近年は帝人化成が中国のメーカーに技術供与を行いライセンスを付与し、現地の工場で製造したポリカをパンライトの名称で展開したりと、技術指導や合弁会社設立で中国のポリカも品質が上がってきています。また、日系の化学メーカーも新たな製造設備投資は中国や東南アジア各国が中心となってきています。

スーツケースを購入する際に、素材メーカーまで調べたり強度を比較することは難しいでしょうから、とにかくスーツケースのメーカー自体を一流のメーカーにしておくべきです。一流メーカー製なら素材であるポリカも一流のものを使っているので安心です。

激安のノーブランドのスーツケースですと、どんな品質の素材が使われているか分からないためある種の賭けです。出来れば激安品は避け、少なくても1万円台の良コスパ品にしておきたいところです。

以前は私は2,3万円台の有名メーカーのメイン価格帯の製品群をおすすめしていましたが、やはりどれだけ高いものでも壊れるときは壊れますので、安めの良い製品を購入しておいて壊れたら買い直すのが一番良いと考えるようになりました。1万円台のスーツケースはコスパが最高
www.suit-case.net

この記事が役に立ったら、ぜひ「いいね」をポチッとお願いします!